加茂 | 今までの浦上さんのお話を聞いていると、 売って儲けること以上に 良いものを持って幸せになる人が増えて欲しい という想いがあると感じるんですが。 |
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浦上 | そう言うと思い上がりだって言われる気もするけど、 実はそうなんです。 ところが我々も、この商売で生活しているから それをあんまり言い過ぎると 「なに格好付けてるんだ、お前だってこれで飯食ってるんだろ」 ってなことは、ずいぶん若い頃から言われました。 だから今はあまりそういうことは言わないんです。 確かにそれで飯を食っているわけですし。 でも、究極の目的は 良い美術品を流通させることですよね。 |
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加茂 | これが売れないと、 新しいモノが仕入れられないし… といった事情がありますしね。 |
浦上 | でもね、結局は今おっしゃってくださったことを考えないと、 ある意味何の商売でもそうなんですけど、 際限なくお金を儲けたってつまらないものですよきっと。 |
加茂 | ありすぎても使い切れないですし。 |
浦上 | 手に残すと子孫の争いのタネになるし(笑) |
加茂 | そうなると、 浦上さんとしてはこれからも仕事を通じて いろんな人に自分が良いと思ったモノを買ってもらって、 最高の形はずっとそれを持ってもらって、 いろんな人に良さを伝えて欲しいと。 |
浦上 | そうです。 今回作った北斎漫画のiPhoneアプリは 「これはおもしろいぞ」という きっかけになると良いですね。 |
加茂 | あのアプリを見て良いなと思ったのが、 保存は限界があるじゃないですか。 紙はやっぱり生ものですし、 このタイミングでアプリとして保存したのは 良いアイデアだなと。 保存状態との戦いというのは、 やっぱり古美術商というのは避けられないものなんですか。 |
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浦上 | それはありますね。 ただ、今の保存技術というのは結構進んでいて、 いつかは朽ちてなくなるものもありますが、 例えばこの壺はなくなりません。 もちろん災害に巻き込まれたら 壊れることもあると思いますが、 基本的にはこれの良さを みんなに喧伝すればみんな守ろうとしますから。 ほうっておいても 500年、1000年、2000年、3000年持つんじゃないかなと。 良さをいろんな人に認識してもらうのは大事なことです。 |
加茂 | 聞いていると、 浦上さんが1000年後も生きてそうな感じがしますね。 |
浦上 | それじゃお化けだ(笑) |
加茂 | そういう仕事をされているなって思ったんです。 今聞いているこのおはなしも、 1000年前の浦上さんがここにきて 話をしているんじゃないかって気もします。 |
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浦上 | あたしゃイタコか(笑) でもたしかにそうでしょうね。 モノを最後に残すのは人ですから。 |
加茂 | 浦上さんが昔の人からバトンをもらって今扱っていて、 これからも仕事を通じてほかの人に渡していくんでしょうね。 |
浦上 | それはそう思いますね。 また、それをしないとこの世界に入った甲斐はないです。 |
加茂 | そろそろ時間なので最後に… 今後、浦上さんがやりたいことって どんなことがありますか。 |
浦上 | まだまだあるんです。 この世界で、まだまだ紹介をしたい、 世の中の人に「こんなおもしろいものがありますよ」 って提案したいですね。 あと、北斎漫画だけじゃなくて、 実は北斎が描いた他の版本でも 面白いものがあるんですね。 もちろん北斎漫画は揺るがないんだけど、 なかなかどうしてすごいなってのがあるんです。 そうするとね、なんというのかな、 伝播する役目というのはすごく感じています。 今あまりみんなに注目されていなくて、 これからメジャーになるものというのはあると思うんですね。 ただ時代の流行りだからと片付けてもいいんだけど、 それだけじゃなくて何かあると思うんです。 いいものは、やっぱりいいんです。 それを提案すればわかる人はピンとわかりますよ。 そんな難しい話じゃないです。 ただ見る機会がないと評価のしようがないので、 これからも良いモノを見ることができる機会を たくさん作っていきたいですね。 (この連載はここでおしまい。 最後までご覧いただき、 ありがとうございました!) |
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