高橋 | 今週は滋賀県の北島酒造さんが作っている 「御代栄(みよさかえ)」をご紹介します。 北島酒造さんは初めて 「SAKELIFEでうちのお酒を扱ってくれませんか」 と連絡してくれた蔵元さんなんです。 連絡をもらった後はサンプルを送ってもらいながら話し合って、 どの日本酒を取り扱うか考えた末に、 この御代栄をラインナップに加えることになりました。 今日は、今年の絞り立てと、1年熟成させたものを 飲み比べてもらいたいんですが…まずは絞り立てを。 |
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―― | すごく良い香りがしますね。 |
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高橋 | 御代栄は、この連載で最初にご紹介した「香露」と同じ 9号酵母を使って造られたものです。 この香り高さは9号酵母の特徴ですね。 次に、1年熟成させたものを飲んでみてください。 |
―― | …全然違う味になってますね。 こっちの方が濃い感じです。 |
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高橋 | 熟成させると、新酒で感じた シュワーって荒さがなくなって、 米の旨味が強くなり、コクがでてくるんです。 |
―― | 旨味がはっきりとわかりますね。 これは高橋さんのお店ではなく、 蔵元さんが1年寝かせたものなんですか。 |
高橋 | そうです。 なので、今日ご紹介しているのは 2本とも同じ時期に瓶詰めしたものですね。 |
―― | ということは、 毎年絞り立てのものと1年寝かせたものを 同時に発売していると。 新酒と1年熟成させたものを 呑み比べできるようにするのって おもしろい試みですね。 |
高橋 | そうですね。 なのでラベルも別々に用意してて、 デザインが一緒で酒造年度の表記だけ違うタイプと、 それぞれデザインが違っているタイプがあって 「どっちが良いですか?」と聞かれて、 うーん、どうしようと悩んだ結果、 見た目が違った方がわかりやすいだろうということで、 今回はデザインが違うものを選びました。 |
―― | たしかに、自分も同じデザインのラベルが 貼られているのが2本来たら 「あれ?同じのが入ってる」と勘違いしそうです。 |
高橋 | 酒造年度ごとにラベルのデザインを変える 蔵元さんは少ないので、 もしラベルのデザインが一緒で 「あれ、どっちが1年経ったものだっけ?」 とわからなくなったら、瓶詰め年月日を見てください。 |
―― | あ、そうか。そこで区別ができますね。覚えておきます。 |
―― | 味の話に戻るんですが、 いままでこうやっていろんな日本酒を ご紹介いただいてわかってきたこととして、 それぞれ舌触りというか喉越しが全然違うなと感じていて。 この御代栄は濃淡で少し残る感じがします。 |
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高橋 | これは酸度が平均より高いのでそうなりますね。 熟成させるとアルコール度数と酸度がさらに上がるんです。 御代栄は1年経ったものの方が アルコール度数が1度高く、酸度は1.5から1.7に上がります。 |
―― | そんなに濃くなるんですね。 |
高橋 | はい。あと今回ご説明したいこととして、 この御代栄は無ろ過生原酒というものなんですが…… 確か、これは今までご紹介してきた中で初めてですよね。 |
―― | 初めてですね。 生原酒は以前教えてもらいましたが、 今度は無ろ過生原酒…… どういうものなんでしょうか。 |
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高橋 | 日本酒は普通ろ過をするんですが、 その中で炭素ろ過というものがあって、 それは色を抜いたり香りを整えたりするものなんです。 で、無ろ過は文字通り一切その処理をしません。 なので、御代栄は以前ご紹介した 「出羽ノ雪(無垢之酒)」のように、 黄金色をしているんです。 |
―― | 日本酒って透明ってイメージがあるんですが、 本当は絞り立ては黄金色なんだという話を 以前されていましたよね。 |
高橋 | はい。なので、改めてですが 絞り立てはこういう色をしているんだということを 覚えてもらえると嬉しいです。 |
―― | わかりました。しっかり覚えておきます。 |
―― | 無ろ過生原酒の意味がわかって改めて感じますが、 濃くて舌に味が残る感じですね。 |
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高橋 | これが料理に合うんですよ。 濃い方がお酒だけで楽しめそうなイメージがあるんですが、 それだとどうしても舌に残るので、 何かつまみが欲しくなるんですね。 |
―― | たしかに。 僕も濃い方がずっと呑み続けられるものだと 思っていたんですが、 舌に余韻が残る程度の方が 次をすぐ呑みたくなりますね。 人によって呑み方はもちろん違うと思いますが、 一般的には濃い味の方が料理と一緒に呑むには良いと。 |
高橋 | そうです。 この御代栄は粕汁と一緒に呑んだことがあるんですが、 新酒は冷やで、1年寝かせた方は ガンガン温めてしまって大丈夫です。 40度ぐらいまで上げた方が美味しく呑めると思います。 |
―― | 鍋物と合わせると美味しく呑めそうですね。 濃い日本酒を見つけたら 料理と合わせることを意識してみます。 今週もありがとうございました! |