加茂 | 中村さんは、自分が作ったものは 長く残しておきたいタイプですか。 |
---|---|
中村 | 残しておきたいですね。 |
加茂 | 下手すれば、 co-ba爺さんと呼ばれるくらいにまでなりたいとか。 |
中村 | なれればいいですね。 けど、同じの状態でずっと30年40年残しておくという 堅物の喫茶店を作りたいわけではないんです。 数年経つと入居者の人も変わっていく。 その時にco-ba libraryの本のラインナップも 変わるじゃないですか。 それが面白いなと思ったんですよ。 |
加茂 | 僕もそう思います。 3ヶ月おきくらいに本棚の写真を撮っておきたいですね。 20年、30年やらないとわからないことって、 あるじゃないですか。 この床の木も20年後すごくいい色に なっているんじゃないかなとか。 基本的に、長く使うことを前提に木を使っているんですか。 |
---|---|
中村 | そうですね。 経年変化とか日焼けとかも味が出るだろうなと 思ってやっていて。 実は、今設計の案件をもらっているオフィスがあるんですけど、 これもフローリングを張って、 ただ、例えば、co-ba libraryを撤去する時には、 全部ごみになるじゃないですか。 でも、そうじゃない床のあり方を提案しているんですよ。 900mm×900mmくらいのフローリングの オリジナルパネルを作ってしまって、 それをただオフィスのカーペットの上に 敷き詰めるだけで、床ができます、と。 で、そんな床を2、3年は普通に使ってもらいます。 ただ、オフィスに限らず、退去時には原状復帰! というルールがあるのですが、 次に引越しするときに床がごみになるのは勿体無いので、 そのパネルを次のところにも使えるように 持ち運びできるようにしてあります。 置くだけだし、撤去する時は重ねて 次のところに持っていってまた並べれば 次の床ができるよ、みたいな。 だからゴミにならないオフィスの床を提案しているんです。 |
加茂 | それはいいですね。 退去するとき、全部捨てるのはもったいないし。 |
中村 | しかも、その頃に一番味が出ているはずなのに。 |
加茂 | その考え方は普及して欲しいですが、 みんな考えていないものなんですか。 |
中村 | どうなんですかね。 設計者には考えている人もいると思いますが、 クライアントが考えているかというと、 一概にそうは言えないですね。 「いやいや普通のフローリングのほうがいいよ。」 みたいに言われてしまったら、 考え方の擦り合わせに時間が必要そうですもんね。 |
加茂 | そういった人たちって、 長く会社を続けるという頭がないのかもしれないです。 「この建材、オフィス大きくなった時に使えたら楽しいよね」 って人と仕事をできたらいいですよね。 |
中村 | おこがましいかもしれないですけど、 そういう考えを伝えたいというか。 僕はこういうふうに思うんですけど、どうですかと。 で、本当に反応しない人は反応しないと思うんですけど、 反応してくれる人は、「うんうん、それいいかもね。」 って言ってくれるんですよね。 |
---|---|
加茂 | 常にそういうことを考えているんですね。 |
中村 | でも悲しくなるんですよ。 竣工する日とかって、できたねえとか言っているんだけど、 目の前にはごみがあったりする。 場所はできたけど、ごみも作ったなぁみたいな。 |
加茂 | これを使ってバーベキューでもしようかって(笑)。 |
中村 | まだそのほうがいいですよね(笑)。 |